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『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』はホモソーシャル版『とらドラ!』だ!

秋から始まったガンダムの新シリーズ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』が賛否両論を呼んでいる。

ネットの評判だと「蟹工船のような階級闘争的なモチーフが面白い」といった肯定意見や、「主人公の三日月が何の躊躇もなく人を殺し過ぎ」など否定意見などが二分している。

しかし先日放送された第6話でその印象も大分変わってきたと思う。

結論からいえば鉄血のオルフェンズはホモソーシャル版『とらドラ!』であるといえる。

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簡単に説明すると『とらドラ!』は竹宮ゆゆ子原作のライトノベルを長井龍雪監督、脚本岡田麿里のスタッフで2008年にアニメ化したものである。

ヲタク男性向けのコンテンツで岡田麿里特有の『少女マンガ的文法』を導入することで一世を風靡した作品として語り継がれている。
細かなあらすじは各自にWikiなどで参照してもらうとして、本記事ではアニメ版とらドラ!の終盤25、26話を解説しつつ、鉄血との関連性を探っていこうと思う。

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とらドラ!25話で主人公高須竜児とヒロインの逢坂大河は自分達の恋に決着を付けるべく駆け落ちをする。そこでそれぞれの家族の問題に直面する。竜児は母親泰子はアパートで二人ぐらしで父親が逝去してから祖父母との関係が断絶してしまっている。そして大河の方はもっと複雑で父親一見物腰丁寧そうに見えて肝心の大河のための文化祭の来れず、自分の都合のいいように娘を扱い、母親は元の父親の離婚してその後再婚して新しい家庭が出来てしまい、大河はその輪の中に入ることが出来ない。

そんな二人が自らのルーツと向き合うべく疎遠だった高須家の祖父母と会うことになる。竜児と大河が駆け落ちした際に竜児の母である泰子が打ち明ける。
本当の父親は竜児を妊娠した時に他の女の所にいってしまい、周囲の反対を押し切って竜児を産んだと告白する。

ここで重要なのは竜児、大河、泰子との<擬似家族>というモチーフだ。

家庭にそれぞれの問題を擬似家族という回路を経由することで回復し、祖父母とも和解する。この終盤のモチーフを持ち帰ったのが鉄血の第6話であると感じた。

鉄血の話の移ると、今作にはとらドラ!のような恋愛劇はない。(まぁ、三日月とオルガにBL的な関係性を想像することは容易だが)鉄血に置ける少年少女達の状況も極めて過酷だ。地球からの圧政に火星が苦しみ少年少女といった弱め立場の子供が重労働などで苦しめられている。そして今作に出てくる大半の大人はそんな若者達を喰いものにする悪人として徹底的が描かれる。

大人達に虐げられてきた、三日月オーガスとオルガは自ら鉄華団を組織して火星のお姫様であるクーデリアを地球まで護衛し、火星の独立を目指す。

今回の6話では読み書きの出来ない子供たちにクーデリアがそれを教えるシーンが挿入される、そこで今まで大人達を躊躇いもなく殺し一見冷酷にみえる三日月の年相応の少年らしい側面をみせる。

その後、三日月とオルガはそれぞれ自分達のやりたい夢を語り、改めて鉄華団の仲間達を守らなきゃいけないとオルガは決心する。

今作は鉄華団の少年たちを通した<擬似家族>モノだ。

今作の大人は大半は悪人として描かれる、そんな壊れた世界で生き抜く為に擬似家族的な連帯が重要になってくる。

しかし三日月やオルガの直面している問題は竜児と大河と同じかそれ以上に深刻だ。基本出てくる大人はほぼ信用できないし、そんな大人達に対抗すべく組織を強化さねばならない。ガンダムUCやクロスボーンゴーストなどに存在した後進を導いてくる大人はこの世界には存在しない。予め喪われてものはやはり自分達の手で埋め合わせるしかないという非常に過酷な世界だ。

とりあえず話は一段落したが次回以降も少年達の行く末の見守りたいと思う。










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『心が叫びたがってるんだ。』感想というか超簡易メモ

どうも、千秋クリストファです。
今日ようやく『心が叫びたがってるんだ。』を観てきました。

『とらドラ!』、『あの花』の長井龍雪監督、脚本岡田麿里コンビの最新作です。
私は往年の岡田麿里さんの大ファンなので、これまでの彼女の作品と比べて本作がどうだったかという立ち位置で感想を述べたいと思います。

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□まず軽く雑感から

本作は前作、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の流れを汲む作品として大きく宣伝されてます。
しかし、内容はどちらかといえば『true tears』、『とらドラ』を派生した作品であるといえるかも知れません。

主人公は自分の言葉で家族をバラバラしてしまった少女成瀬順がその事に自責の念を感じてお喋りを封印してしまう。(物語の終盤で彼女が言葉を話せなくなったのは自己暗示である事が明らかになる)ある日クラスで「地域ふれあい交流会」の実行委員として成瀬順、坂上拓実、仁藤菜月、田崎大樹とほぼ接点のない彼らが任命される。

物心つく頃から人に本音を話すことしなくなった拓実、右腕に怪我をしてしまったことからエースを外されてしまった元野球部員の大樹、そして中学時代拓実と付き合っていて彼に密かに思いを寄せる菜月、そして順、実行委員の活動ミュージカルを通して最初はバラバラだった彼らがやがて団結していき各々の抱える悩みや問題に立ち向かっていくというのがおおまかなストーリー。

内向的だった少女がミュージカルと通して他者と触れ合い、淡い恋を通して殻を破り外の世界の飛び出していくというストーリーは同じ岡田麿里の『true tears』の精神的後継作といえるかも知れない。(現に言葉を封印した順が他者との触れ合いを通して、ミュージカルの劇中劇の創作の才能を発揮していく下りは「tt」の主人公で将来絵本作家も目指してる仲上眞一郎が恋を通して物語を紡いでいく描写と連続性がある。本作で語られる劇中劇の「青春に向う脛」はそのままttの「雷轟丸とじべたの物語」を想起させられる)

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□恋愛モノというよりは青春群像劇

とまぁttの関連性の指摘したのだが、本作の恋愛要素はあまり前面に出てこない。終盤で拓実が過去に菜月と付き合っていて彼が密か彼女に思い寄せてることを知って順が衝撃を受けるという描写に留まる。そういった意味では青春群像劇という色合いに近いのだが、私としてはそれによって損なわれてしまったものが幾つかあるというのが私の評価だ。


□サブヒロインの弱体化により物語全体から他者性が著しく乏しくなってしまった

まず本作は言葉は失ったコミュ障のメインヒロイン成瀬順に感情移入出来るか否かで評価を大きく分かれてしまう。

物語の合間に彼女のモノローグ通して繊細に語られていく一方で彼女の如何にもアニメチックな記号表現と描写は観る人によってはすごく鼻に付くと思う。

これがttの場合同じくコミュ障不思議ちゃんヒロインの石動乃絵の存在のカウンターとして等身大で年相応の悩みや屈託を抱える湯浅比呂美、とらドラ!の場合は大河に対比させる形でスクールカースト器用貧乏な優等生、川嶋亜美など登場させてお互いにリアリティを補完し合っていたのだが、本作のサブヒロイン仁藤菜月は優等生ではあるのだが特に順と対立するわけでもなく皆の良き理解者というポジションに収まってしまう。

『tt』や『砂沙美☆魔法少女クラブ』のような少女達のリアルな葛藤と感情の発露を期待するとやや肩透かしを喰らってしまう。

ttの乃絵はコミュ障ではあるのだが、そんな彼女に対しての周囲の目線は物凄く厳しい。対してここさけの順は当初は元野球部員の大樹と対立するも話が進むつれ和解していきクラスメートも最終的に彼女の理解者になってくれたり彼女にとって世界は優しい。

今回はTVシリーズではなく、二時間の映画なので仕方ないのだが、本作を順の単一の物語にしてしまった事で、他者性が著しく乏しくなり自己完結した物語になってしまったきらいがどうもある…

もう少し尺があれば、拓実、順、菜月との三角関係をもっとドロドロしたものに発展させたり、『tt』の乃絵の兄石動純や『あの花』のゆきあつのように屈託抱えたキャラ登場し周囲を引っ掻き回すなどいろんな展開の仕方があったのだろうが、こじんまりと纏まってしまった感じでとても残念だ…


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□それでも音楽は一級品!


私は音楽については特に教養もなく無頓着なのだがクラムボンのミト氏による音楽は一級品だ。

それぞれ屈託を抱えた若者がミュージカル即ち歌を通して心の奥にあった気持ち解放していき、「悲愴」などの往年のクラシックの名曲に独特の歌詞が入っていく際のテンションの盛り上がりはカタルシスがあり大変観ていて気持ちがいい。

何れサントラも買おうと思う。
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□良くも悪くも佳作止まりか…

前述でも述べた通り、終盤のミュージカルの作画が非常によく出来ており爽快感もあるのだが、往年の岡田麿里ファンが求めるであろう少女達の葛藤と生の感情のぶつかり合いなど生々しい描写は本作にはあまりないのでどうしても食い足りなさが残ってしまう…

良くも悪くも佳作止まりであると言えるかもしれない。

まぁ散々文句書いてきたけど、それでもBDが出れば買うかもですが…

今後書きたいことリスト

どうも、千秋クリストファです。ブログではしばらくぶりです。

9月に入ってPCを新しくしました。GTX980tiのWindow10の搭載PCなんですけど、Win10が曲者で動画みてるとCTDする古いゲームは動かないので日々悪戦苦闘しております。

とりあえず今日は今後書きたいことを軽くリストアップしておこうかと思います。

△『ガンダム Gのレコンギスタ』~戦後ロボットアニメの終焉とその臨界点としてのGレコ~
△『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』~一新されたスタッフへの期待と著しい不安…~
△『心が叫びたがっているんだ。』感想
△『MGSV The Phantom Pain』~メディックをBIGBOSSの呪縛から解放するには?~
△『機動戦士クロスボーンガンダムゴースト』を読んでやるせない気分になった…

今後定期的に更新できるかどうかは分かりませんが次はそんなに間は空かないかも…

ガンダム Gのレコンギスタ完結 雑感 自分の目で確かめよう

一昨日Gのレコンギスタが完結しました。賛否両論あり、ファンの目線からみてこの作品を語るの非常に難しいのですが、現在感じてる雑感を纏めてみようと思います。


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あのラストシーンから連想させられるのは「主義主張の異なる人間がいたらちゃんとその地に出向いて意見を訊いて自分の目の確かめる」という酷く凡庸な結論に辿り着くために全26話があると思いました。

(そういう意味では新訳Zの隣人愛に非常近い印象受けます)

ある程度予想されてた事ですがリギルドセンチュリーが抱える様々な問題について、明確な回答を打ち出されたわけではありません。富野監督が一時期影響を受けたハンナ・アーレントが提唱する所の全体主義による責任者の不在、クンパ大佐やマスクなどの「陳腐な悪人」が事態より悪化させてしまう。
キャピタル、ヘルメス財団などのエネルギー技術の独占が新たな独裁を生む、配給元の金星、ビーナスグロゥブの過酷な環境によりムタチオン(突然変異)してしまい人間の本来の機能が劣化してしまうことなど、提示された問題は多義に渡ります。

とりあえず物語のラストでは現在の枠組みの作った大人が倒れ、次の若い世代の少年少女達の世界を託して終わります。


〇物語後半ルインとマニィ

ちょっと話を変えますが、物語後半のルインとマニィについて語りたいと思います。ルインはマスクを名乗り、クンタラとして劣等感から自らの地位向上にためにキャピタルアーミィとして戦場に出ます、同じく物語後半のマニィも彼を追っかけビーナスグロゥブからジーラッハを捕獲してアーミィに譲渡し彼女もルインと共に戦場で戦います。

ここで問題なのは25話でルイン、マニィともにこの事態を引き起こした元凶、仮想敵をベルリに見出してしまってる事です。
これは複雑な世界をみる目線を酷く単純化してしまっているように思えます。

別段、彼らに限った話ではなくトワサンガやジット団にもいえることですが、こうした複雑な世界で安易に仮想敵を見出そうとする行為がアーレントが提唱する「陳腐な悪」に堕してしまう、そう我々いつでも「陳腐な悪」になれるし、「群衆」にもなれるのです。


〇空洞のある世界を何で満たすか

では誰でも仮想敵を作り、他者を排斥してしまう世界でそうならないようにするにはどうすればいいか?それは酷く単純な答えですが目線を変えることでしかないと思います。

あのエピローグでは敵同士だったフラミニアやクン・スーンとも自然に打ち解けてます。ルインも劣等感よりもマニィと共にいることを選び、クリムとミックも自分の父親であるズッキーニ大統領を叩き潰したあと、ハワイにハネムーンし、アイーダはクレッセントシップで太陽系一周し、ベルリは日本で降りて世界一周を目指すなど、それぞれの旅立ちが描かれます。

劇中の描写だけでは気が付かない人も多いかも知れませんが、リギルドセンチュリーは空洞の世界です。
しかしその空洞を満たしてくれるものをいくらでもあるというのはあのエピローグから読み取れないでしょうか?

つまらないプライドや虚栄心に拘るのではなく、Gレコのキャラクター達は次の目標に向けて邁進しています。

空洞を満たしてくれるだけ豊かさが確かにこの世界にはあるそんな優しさを私はあのエピローグから感じます。

とりあえず拙文ながら現在感じていることを纏めてみました。無論まだ本放送を終えた直後なのでこんな感想しか思い浮かびませんでした(汗

また二周、三周すればまた見え方が変わったり、新たな発見があると思います。これからもGレコと末永く付き合っていこうと思います。


富士山登山したいな…(砂走りは禁止されてるらしいけど…

『THE NEXT GENERATION パトレイバー』第7章公開。シリーズを通しての雑感 ※ネタバレ注意




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先日、シリーズ最終章である第7章が公開されました。特車二課の解体が囁かれる中、先代隊長の後藤の遺した遺産を探るため2代目隊長後藤田が独自の行動にでます。その中で旧キャラの南雲しのぶや柘植行人が登場し、事態がどんどんきな臭くなっていきます。

とりあえず、第7章に関する言及は後述に廻して、このシリーズが一体どういう物語だったのかということをこれから述べていきたいと思います。

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■三代目特車二課とは?

まず三代目特車二課の面々が初代と比べてどう違うのか、少し語りたいと思います。
まずアニメ版先代二課は一見バラバラの様に見えて、後藤隊長の指揮の元、団結する時にはきっちり団結し彼らには語るべき物語も存在し、実質彼らは本当の意味で『正義の味方』でありその二課の伝統を創りあげた人達だといえるでしょう。

一方三代目はどうか?

明、祐馬は警察官になったはいいのですが、一度夢を叶えてしまったのでその次の自己実現も曖昧模糊としていて職場でゲームやプラモに深け込み待機任務中にだらだらとモラトリアムの日々を過ごしてます。
それだけなら初代とあまり変わらないのですが、大田原は職場でも平気で酒を飲み、御酒屋は非番中に離婚した奥さんへの慰謝料を稼ぐためパチンコの没頭したり、カーシャに至っては二課棟内で所構わずタバコを噴かしたりと、決して団結してるとは言い難く、初代のそれに比べて警察官としての自覚も薄く、どこか人間性が欠落した存在として描かれます。

そんな三代目が様々な難事件や珍事件に挑むのがこのシリーズです。

警視総監の前で祝砲を撃たなければならなかったり、明がゲーマーのオヤジの説教を聞いたり、怪獣の正体を探らなければならなくなったり、一見これらのエピソードは連続性を薄く破天荒なものとして描かれます。


■ゲストキャラの存在

このシリーズに出てくる様々なゲストキャラにもここで注目したい。まずep3の竹中直人演じる「強いオヤジ」と、eo5,ep6の海洋生物学者だけど研究者の間では鼻つまみ扱いされてる「七海言子」、両者に共通していえるのは本流の出世コースから外れてしまった人々として描かれます。

「強いオヤジ」は明に「勝つための思想」(押井さんのエッセイなどで頻繁に持ち出されますね)を教え、勝負には応じないでそのまま去っていく、七海は信念を貫き通すのは良いのですが、周りから白い目で見られ、部屋の整理も出来ず酒を飲むと手が付けれなくなり暴れるなどかなり困った人です。

しかしそんな一見駄目な感じに大人が非常に面白おかしく魅力的に描かれていて、ここに旧シリーズまでのパトレイバーらしさを見出せないでしょうか?

何となくですが押井さんの大人にイメージは「成熟」などあまり信用していなく、人はいかに「老いる」のかというとてもクレバーな人間観を持ってますし、アニメシリーズ新OVA第8話「火の七日間」では整備班長の榊清太郎のことを後藤が「永遠の子供でいたい人」という人物評をしのぶさんに告げます。このことから押井さんの年長者に対する考えの片鱗を現れてるような気がします。

話が少し脱線してしまいましたが、今後出てくる重要キャラとしては高島礼子演じる公安部の「高畑慧」、長編劇場版の森カンナに演じる「灰原零」などにも注目したい。


■三代目二課の物語とは何なのか?

さてそんな語るべき夢や物語の存在しない三代目二課の物語とは何なのか?結論からいえば、うだつの上がらない若者がいかに自分の仕事の中でのアイデンティティー、もっといえば職業倫理としての矜持を獲得していくのか?この一点に尽きると考えます。

ep11の明の高校時代のクラスメイトの「高遠航」と同窓会で再会しますが、彼は明と違い大学の受験に失敗し、お年寄りから不当に高額な値段で金品を売りつける詐欺師だったことが明らかになります。

そう、彼は一度夢から挫折し落ちぶれたもう一人の明の姿だったのかもしれないのです。

様々のキャラがいますが、どんな境遇どんな立場であろうが、最低限の矜持だけは捨ててはいけないというのがこの物語なのでないでしょうか?

そして第7章のep12では特車二課の相続問題、先代の遺産など一気にシリアスな展開になっていきます。

二代目隊長の後藤田もその問題との間で揺れていて自らの存在に迷っていて、後藤隊長とは少し違ったキャラとして描かれてます。

警視総監が辞任して次の総監である海藤が本格的に特車二課の解体に乗り出してきます。そんな中突如届いた後藤さんの携帯電話、シバシゲオの「守るべきものはあるのか」という問い、解体騒動をどうにかするべく後藤田は独自の行動に出ます。

それは現在収監中の「パトレイバー2」に出てきたテロリスト、柘植行人に会いに行くことだったのです。

そこでもシゲさんが言ってた「守るべきもの」や「正義の戦争」とは何かという詰問を柘植は後藤田に突きつけてきます。

柘植との面会を終えて後藤田は明、祐馬たちの二課の面々をみて、自分の守るべきものは何かということを見出します。

そこで再びシゲが「守るべきものは見つかったのか?」と後藤田に問い、彼は「見つかったかもしれないけど、先代のそれとは違って我々には分相応のものではないかも知れない」とやや自嘲気味に語ります。

そうまだ三代目二課の彼らの中でも「守るべきもの」をはっきり見出してるわけではないのです。

それはこれから始まる長編劇場版で二課が背負うべき伝統、正義、守るべきものが明らかになると思います。

拙文ながら現在までの雑感を語ってきましたが、長編劇場版を心待ちにしたいと思います。


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Senshu Chris

Author:Senshu Chris
富野由悠季、押井守、PCゲーム(FPS全般)もたまにやります。 twitterは @Sensyu_Chris です

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